特別養護老人ホームとは
特別養護老人ホームは、寝たきりや認知症など、常時介護が必要な高齢者のための福祉施設です。
原則、65歳以上で、常時介護を必要とする状態であることが入所の条件となっており、申し込みには要介護度1以上の認定を受けていることが必要です。
介護が必要な高齢者が日常生活に必要な、食事・介護・相談等のサービスを受けることができます。
介護サービスは、介護保険が利用でき、入所者3名に対して1人の介護スタッフが介護を行います。
特別養護老人ホームの人員配置 一例 (60名定員の場合)
施設長 1名 介護スタッフ 17名
医師 1名(非常勤可) 介護支援専門員 1名
看護師 3名 生活相談員 1名
機能訓練指導員 1名
これまでは、プライバシーが確保されない4人部屋、8人部屋が基本だったのですが、最近は個室の特別養護老人ホームが増えてきています。この全室個室の新しい特別養護老人ホームのことを新型特別養護老人ホームと言います。
現在は、全体の約半数が個室となっており、特に10名程度のユニット形式で生活するユニットケアが中心となってきています。
必要な費用
特別養護老人ホームで生活するためには、食事・居住費(ホテルコスト)・介護保険の一割負担等の費用が必要です。4人部屋等の複数人部屋で月額6〜7万円程度、個室の新型特別養護老人ホームで、月額13万円程度が必要だとされています。その他、医療費・カット代等の雑費は別途必要となります。
全国ほぼ一律の価格設定となっていますが、要介護度によって、介護保険の一割負担額が変わります。また、生活保護受給者など、低所得者に対しては、月額費用の減額制度があります。
申し込み方法
介護保険制度導入前は、入所希望者は行政(福祉事務所等)に申し込みをし、条件に合っているのかが行政によって審査され、入所するホームが決定されていました。これを『入所措置』と言い、自分で入りたい施設を選ぶことはできませんでした。
これに対し、現在は、本人が入所したいと思う施設に、直接申し込むという方法に変わっています。
ただし、要介護度の認定を受け、要介護1より重いと認定されることが必要ですから、一般的には、ケアマネジャーを経由して、申し込みをする人が多いようです。
入所申し込みは、一つだけでなく、複数のホームに申し込むことが可能です。
一般的な特別養護老人ホーム申し込みの流れ
1)要介護度認定を受ける(行政または居宅支援事業所のケアマネジャーに相談)
2)介護が必要な状態だと認定される(要介護1〜5のみ)
3)入所したい特別養護老人ホームを担当のケアマネジャーと相談
4)特別養護老人ホームを見学し、入所申し込み
入所順序の決め方
超高齢社会の到来によって、特別養護老人ホームには入所依頼が殺到しており、各特別養護老人ホームで定員の数倍の待機者が入所の順番待ちをしているという状態が続いています。全国的にみると、その数は、約40万人に達しています。
以前は、申し込みの順番に入所となっていたのですが、入所待機者の増加により、2002年以降、本人や介護者の置かれている状況を点数化して、緊急度の高い人から優先的に入所を認めるようになっています。
優先順位の高いポイント(一例)
1)要介護4・5など重度要介護高齢者であること。
2)独居高齢者など、家族の介護が見込めないこと。
3)介護虐待などの可能性が高く、緊急対応が必要なこと・・・等
残念ながら、待機者が多くても、財政的な問題により特別養護老人ホームはこれ以上建設される見込みはありません。要介護1以上であれば、入所申し込みはできますが、緊急度の高い高齢者は増加してきますから、特別な事情がない限り、家族と同居している高齢者や、要介護3より軽度要介護の高齢者は、特別養護老人ホームへの入所はかなり難しくなっているのが現実です。
特別養護老人ホームと有料老人ホームの違い
特別養護老人ホームも介護付有料老人ホームも、『高齢者を対象とした生活サポートサービス付き住居』と言う点では同じです。また、有料老人ホームも以前の一部の富裕層を対象とした超高額商品というイメージとは大きく変化してきています。
ただし、その選択においては、いくつかの違いを理解しておく必要があります。
1)サービス内容の違い
特別養護老人ホームは福祉施設ですから、福祉施策の一環として、国の制度に示された基準に従って、開設・運営されています。 これに対し、有料老人ホームは、それぞれのホームでサービス内容が違います。手厚い介護サービスを目的としたホーム、夜間にも看護師が常駐しているホーム、また、自宅と同じようにデイサービスや訪問介護を利用するホームもあります。
言い換えれば、特別養護老人ホームは、生活に必要な基本的な食事・介護・看護等のサービスが集められた全国一律のパッケージサービスであり、有料老人ホームは、どのようなサービスが必要なのか、どのように生活したいのか、自分の希望に合ったサービスを選ぶことができる自由設計サービスだと言えます。
2)価格の違い
これまで有料老人ホームは、入居一時金が数千万円、月額費用も30万円以上という一部の富裕層を対象としたものでしたが、要介護高齢者を対象とした有料老人ホームは、介護保険制度によって介護費用が賄われることから、価格は抑えられ、入居一時金は0円で月額費用も15万円程度という、特別養護老人ホームと変わらない価格の有料老人ホームも多くなっています。
介護付有料老人ホームの介護サービススタッフの最低基準は、特別養護老人ホームと同程度ですが、これに手厚い介護サービスや、看護スタッフが増員されているホームは、その分、月額費用が上がると考えれば良いでしょう。
特別養護老人ホームと有料老人ホームの価格比較で、最も大きく違う点は、特別養護老人ホームには、低所得者に対する減額措置があるということです。特別養護老人ホームは、基本が社会的弱者を救済するための施設ですから、生活保護受給者、市町村民税の非課税世帯に対しては、食事や居住費等の負担が減額されています。
3)有料老人ホームの利用法の変化
これまで、有料老人ホームでは、高額の入居一時金が必要だったため、『終身利用』という言葉が良く使われてきましたが、価格の低額化によって、最近では、ミドルステイ、ロングステイとして入居を考える人や家族も多くなってきました。
『特別養護老人ホームの入居待ち』『子供が大学を卒業すれば同居したい』など、事情は様々ですが、『終の棲家探し』ではなく、『本人がそのまま気に入れば・・・』という気持ちで探しているという家族も増えています。